蓼科山365日 10-14-19 案山子(カカシ)
今年の稲刈りは台風を避けて早めに済ませたところもあるようです。
田園を歩くと、あちこちで昔ほどでもないが稲架に黄金色の稲穂がズシリ掛かっているのを見かける。
そろそろカカシの役目も終わりになった。
なぜ「案山子」と書くのか?
「かがし」、ボロ布やイワシの頭を焼いたり、魚や獣の肉を焼いて串に挟んで畦道に立て、その悪臭を「かがせ」て鳥どもを追い払ったことから来ているとのこと。
「文部省唱歌にある「山田の中の一本足のカカシ」など、雀たちの群がる実った稲田に、縄に吊るした鳴子と一緒に、「へのへのもへじ」を書いた人間の立ち姿に似せた「案山子」を立てた。
現在のような人間らしい形に変わったのは、鳥や獣を脅かすというよりも、むしろ田の神として、田んぼの稲を守ってもらおうという気持ちの方が強かったようだ。
「案山子」が立っている光景はユーモラスで牧歌的だが、役目を果たして、そのまま残されている「捨案山子」は風雨に打たれて哀れで、秋景色がいっそう淋しく感じられる。
山口青邨
みちのくのつたなきさがの案山子かな
森の人